相続税改正について

1・基礎控除額の改正

モデルケース(標準的な家族世帯の例)

(1)家族構成

父・母・長男・長女の4人家族

(2)保有財産

父所有自宅(建物+敷地)のみ 時価評価額6000万円

(3)基本的な相続税評価額の基準

時価評価額=6000万円

土地→路線価
建物→固定資産税評価額

(4)相続税額

平成26年までは

基礎控除5000万円+1000万円×法定相続人の数

この例では基礎控除額が8000万円になるので相続税はかかりません。

同ケースで平成27年以降になると

基礎控除 3000万円+600万円×法定相続人の数

この例では基礎控除額が4800万円になります。

相続税課税標準価格は6000万円-4800万=1200万円

相続税額は130万円となります。

2・小規模宅地の特例の改正(主なもの) (平成26年1月1日以後の相続から改正のもの)

(1)一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とすることとされた。

改正前

構造上区分された独立部分のある建物の場合において、被相続人と相続人が別の独立部分に居住している場合のその相続人は、被相続人の「同居の親族」には該当しない。

【それぞれが区分所有の例】

建物への入り口はそれぞれ別にある。

img-01.jpg

(2)老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用することとされた。

  1. 相続人に介護が必要なため入所したものであること。
  2. 当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと。

改正前の取扱い(国税庁質疑応答事例より抜粋)

被相続人が、老人ホームに入所したため、相続開始の直前においても、それまで居住していた建物を離れた場合において、次に掲げる状況が客観的に認められるときには、被相続人が居住していた建物の敷地は、相続開始の直前においてなお被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないものと考えられます。

  1. 相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。
  2. 被相続人がいつでも生活できるようにその建物の維持管理が行われていること。
  3. 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
  4. その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

(平成27年1月1日以後の相続から改正のもの)

(3)特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330㎡(改正前:240㎡)までの部分に拡充することとされた。

3・相続税その他の改正(平成27年1月1日以後の相続から改正)

(1)未成年者控除の改正

【改正前】

20歳までの1年につき6万円

【改正後】

20歳までの1年につき10万円

(2)障害者控除の改正

【改正前】

85歳までの1年につき6万円
(特別障害者については12万円)

【改正後】

85歳までの1年につき10万円
(特別障害者については20万円)

(3)税率の改正【改正後】

1,000万円以下の金額 10%
3,000万円  〃 15%
5,000万円  〃 20%
1億円   〃 30%
2億円   〃 40%
3億円   〃 45%
6億円   〃 50%
6億円超の金額 55%