経営分析
一言に経営分析といってもお客様ごとに課題があり、一様ではありません。当事務所では下記に掲げましたような定型的な分析を基にお客様ごとにわかりやすくアレンジし丁寧にご説明します。その上で問題点を抽出し、それに応じた分析をし、経営に役立てていただけるようアドバイスをすることを心掛けております。
1、財務情報分析の意義と種類
収益性分析
総資本を使って会社がどれくらい利益を上げたのかを分析
- 総資産経常利益率(ROA)
調達したお金を使って利益をどれくらい上げたかを見る。
経常利益÷総資産
- 株主利益率(ROE)
株主が出資したお金でどれくらい利益を上げたか。
当期純利益÷株主資本
- 売上高利益率
売上高に対する各利益の割合
売上総利益率(粗利益率)→業種、業態により違いがある。
売上高営業利益率→この値が高いほど本業の儲けが大きい。
売上高経常利益率→会社の資金調達の良し悪しを反映。総合的な収益力を見る。
- 総資産回転率
1年間に総資産の何倍の売上を上げたか→値が大きければ少ない資産でより多くの売上を上げたことになり結果、資産を有効に活用し収益力が強いこととなる。
売上高÷総資産
2、安全性分析
財務体質の分析
3つの視点
(1)資産・負債と株主資本の関係
流動比率
短期的な支払い能力の有無
流動資産÷流動負債→目安150%以上
当座比率
流動資産のうちの当座資産(現預金・売掛金・手形・有価証券)で判断
当座資産÷流動負債→目安100%以上
固定比率
長期的な支払い能力(設備投資にむりがないか)。資本だけでまかなっている率
固定資産÷株主資本→100%以下
固定長期適合率
借入金等ふくめた場合
固定資産÷(株主資本+固定負債)→100%以下
(2)負債と資本の割合
株主資本比率
会社の借入金依存度を見る
資本÷総資産 要30%
借入金月商倍率
借入金返済能力、限度額を知る
借入金÷月あたり売上 3倍以上は注意
(3)資産の内訳
流動資産・固定資産の構成比をみる
総資産に対し流動資産が多いほうが安全→安全性は高いが収益性が犠牲となる。
3、生産性分析
人や設備の効率を見る
生産性=産出額÷投入量
例)1人あたりの売上高
売上高÷営業社員数
付加価値(利益)
会社が生み出した新しい価値
労働生産性
従業員1人あたりの付加価値額
付加価値÷従業員数
高ければ高いほど従業員はよく働いている。
労働分配率
人件費÷付加価値→目安50%
※必要売上高
所得1000万、加工高比率(売上に対する付加価値の割合)20%とすると
1000万÷0.5(目標労働分配率)=2000万
2000万÷20%=1億円
売り場生産性
売上高÷売り場面積
人時生産性
付加価値÷総労働時間
部門ごと等細分化する
4、成長性分析
- 増収増益
- 増収減益→値下げ競争
- 減収増益→不採算事業の撤退、経費圧縮等
- 減収減益
人件費の伸びと粗利益の伸びの比較→人件費伸び率を粗利益伸び率以下にする。
5、キャッシュフロー分析
資金繰り
営業キャッシュフロー
営業活動による現金収支
投資キャッシュフロー
投資活動による現金収支 固定資産の購入等
ここまでを足したものがフリーキャッシュフロー
自由資金
財務キャッシュフロー
財務活動による現金収支 借入金等
損益分岐点分析(CVP分析)
損益分岐点売上高
コストを回収できる売上高
収益-費用=0
固定費
売上高に関係ない費用
減価償却費、人件費、家賃等
変動費
売上高の増加に伴って変動する費用
限界利益
売上高-変動費
損益分岐点=売上高-変動費=限界利益=固定費
限界利益率
限界利益÷売上高
損益分岐点の売上高
固定費÷限界利益率
経営安全額
売上高-損益分岐点の売上高
経営安全率
経営安全額÷売上高
売上高100万円、損益分岐点が80万の経営安全率
20万÷100万=0.2
現在より売上高が20%以内なら赤字にならない。