資金繰りに関して

資金繰りの悪化には様々な原因がありますが、ここではまず行っていただきたい売上債権対策をご説明します。

「儲かっているはずなのにお金がない、なぜ?」

これは利益とキャッシュの不一致が原因で起こっています。一般に会社では利益を損益計算書から確認しています。しかしこの損益計算書には売掛金や受取手形(売上債権といいます)などまだお金になっていないものも売上→利益として認識されています。このことがいわゆる「勘定あって銭足らず」の状態を引き起こしています。

「以前より資金繰りが悪くなったと感じたらどこを見る?」

まず前期以前と比較し、売上債権が増えていないかを確認します。これは2つの面から行います。

ひとつ目:通常の回収がきちんとなされているか?

通常であれば取引先毎にたとえば当月売上で翌月末回収など一定のサイクルが決まっているのでその期日どおりに支払いがあるはずです。しかし何らかの原因で取引先から予定どおりに支払いが行われない場合があります。そのことが判明したらすぐに取引先に連絡をいれ、適切な対応をとらなければなりません。会社の多くはすぐに連絡がくるところ=きちんと債権を把握しているところに優先して支払いをする傾向があります。このためには社内で取引先担当者からの状況報告を徹底するなど売上債権管理システムを整備しておく必要があります。

ふたつ目:営業担当者に安易に回収期間の延長をさせていないか?

営業担当者が売上の成績をあげるために相手にとって有利な条件を提示することがあります。この提示の一つに回収期間の延長があります。相手先にとってみれば支払う期日が延びるので値引きにも相当するインパクトがあるのですが、こちらにとってこれを安易に行うことは即資金繰りの悪化につながります。経営者が売上拡大だけにとらわれていると、このことに気づかず思わぬ落とし穴にはまることにもなりますので慎重な対応が必要です。

「では売上債権の回収期日を早めるにはどうしたら?」

一般的には売上の回収期間を短くすることを取引先に交渉するには価格を値引くなどそれに見合った条件を提示する必要がありますが、長年の取引慣行のある場合や業界内の考え方など、実行はなかなか難しいことと思われます。したがって他の回収期間の短い取引先の例などをあげて無理のない範囲でじっくりとお願いしていくことを軸に、新規商品の契約や担当者の変更時など変更をお願いしやすいタイミングを逃がさないよう会社としての姿勢をきちんと決めておくことが重要です。

新規の取引先には過去の経緯なく最初から回収期間を決められます。まずそこから当社に有利な回収期間を定め、これを一例とし、既存顧客に広めていくのもよいでしょう。